『昨日は忘れた。明日は知らない。(またの名を『柏餅』)』〔3〕


「あのねぇ……小林さん……これだけ金かけて何も出ませんでしたじゃあ済まされないんですよ……」


「はい、分かっています……でも、あと1週間待ってください!昨日、今までに見たことのない穴を見つけたんです!」


「そうですか…小林さんがそう言うんなら信じましょう。あと1週間ですからね。」


埋蔵金を探し続けて30年になる小林恵子(仮名、52歳・男・独身)は三年前になってようやく埋蔵金が埋まってあるであろうと思われる山を見つけ数十億円の投資を受け、ただひたすら穴を掘る日々を過ごしていたが何も見つけ出すことが出来ず、投資家からも見放されようとしていた。


そして、1週間後……


今日もただ穴を掘り進む小林と数人のスタッフ。
結局、何も出ないで終わってしまうのだろうかと思った瞬間。


「おい!ここを見てみろ!ここだけ土の色が違うぞ!」
スタッフの一人がそう叫んだ。


直径5メートルほどの周りの土の色とは違う、明らかに人の手によって埋められた痕跡がそこにはあった。
慎重にスコップで土を掘っていくとスコップが固いものに当たった。
周りの土を取り除くとそこには装飾の施された箱があった。


「ついに私が探し求めていた夢がここに…」
小林はおそるおそる箱を開けた。



そこには……


柏餅が……



唖然とするスタッフ達。そして小林は絶句した。
数秒後、小林はおもむろに何かに取り憑かれたかのように箱の中にあった柏餅をつかみ取り、口の中に押し込んだ。


「モグ……モグモグモグ……
 ヾ(@⌒¬⌒@)ノ ウマヒィ 」